キャリアプランを作ろう!

 キャリアプランはライフプランの構成要素

おさらいになりますが、前章のキャリアプランの作り方では、「人生の目的」という大きなゴールの達成は、それを構成する小さなゴールの達成が必要であると説明しました。また、小さなゴール群の中に「仕事と収入」に関するゴールが当てはまらない場合には、キャリアプランを作る必要が無いことも説明しました。

なぜならキャリアプランとは、あなたの「仕事と収入」に関する目標を達成するための設計図もしくは段取りを作ることだからです。

 

 キャリアプラン作成のための情報収集

「仕事と収入」に関するゴールを作成するにあたり、情報収集をはじめましょう。情報がなければ何も描けません。ただし、前提としてこれは「上昇気流」にのり、低いところから高みに昇るプランになります。最低限の労力で「現状維持」を保つプランではないので、そのつもりの方は読むのを止めてください。時間の無駄になります。

 

さて、収集する情報とは何か。

 

それはずばり、現代社会における給与レンジです。1990年代までは、単純に年齢や継続勤務年数が長くなるにつれて給料をもらえる額が多いという、年功序列制度でした。20代よりも30代、30代よりも40代が高い給料をもらっていました。しかしこの年功序列制度は既に破綻しています。しかし、抑えるポイントは単純です。下の図を見てください。

左の図は、社会人経験があればご存知かもしれません。専門性の低い職種の平社員は「給料が低い」サークルにいます。しかし、その専門性が低い職種でも、主任・課長・部長と役職が上がれば、左上の「給料が高い」サークルにキャリアアップすることが可能です。

転じて、専門性が高い職種は総じて平社員であっても給料が高い傾向にあり、その上級管理職であれば、非常に給料が高い水準であることがわかります。

また、右の図は企業規模における一般的な給与水準の概念です。零細企業よりもグローバル展開をしている大企業の方が、給料が高いということを表しています。これも社会人経験があれば感覚的にわかりますよね。

これに加えて、「職種」でも給料レンジは異なります。よくニュースなどで業種別給料ランキングが発表されることがあります。時期によって変動がありますが、総じて銀行、商社、製薬業界の給料レンジは高い傾向にあります。

 

 あなたの物語を作りましょう

さて、情報収集は終わったので、次にあなたのキャリアプランの骨子を作りましょう。

ん?これだけで作れるのかって?

作れます。むしろこれだけのシンプルな情報だけを使用した方が、骨子は作りやすいのです。たとえば桃太郎のお話を思い出してください。これから作ろうとしている物語の骨子を桃太郎の話でたとえると、「桃太郎が、仲間を連れて、悪い鬼を倒す」レベルです。桃から生まれるくだりや、イヌサルキジを仲間にするくだり、キビダンゴの存在、助けるべきお姫様や、鬼が島の場所と移動手段は骨子ができてから肉付けします。

 

では物語を作りましょう。

 

1.今あなたは、役職が「低く」、専門性も「低い」、「給料が安い」レンジにいます。これを5年後には「給料が高い」もしくは「給料が非常に高い」レンジに移動させます。

2.ストーリーは黄色い矢印のルートになります。

3.どのルートを辿るかを決めましょう。と言いたいところですが、転職に響くキャリアプラン作成の場合、「B」もしくは「B」+「C」の併せ技が選択でき、「A」は選べません。

 

それでは、ルートに肉付けをしていきましょう。


ルートB:

出発点: あなたは、IT系のサポートセンターのコールセンターのメンバーです。

Step1: 業務や空いた時間を活用し、特定の技術力を高めて、専門性の高いレイヤーに移動する

例) Windows OSのトラブル解析能力を高めて、コード解析に近い部門や会社に移動する

Step2: 専門性の高い職種で課長や部長職、ひいては役員まで昇格する

例) 直属の上司やチーム全体のパフォーマンス向上に役立つ仕事に積極的に参画し、管理能力を育てる

作成したキャリアプラン:

私は現在、IT系コールセンターにてトラブルシュートを実施しておりますが、3年の業務経験で、WindowsOSの障害解析が得意な分野となりました。今後はその得意分野を生かすべく、難解な問題に注力して取り組めるような業務(専門性が高い)に進めて行けたら、と考えております。また一方で3年の業務経験の中で、個々人で取り組む業務よりも、チーム全体で取り組んだほうが、余程効果的に業務が進行することを学ぶことが出来ました。現在はより業務を効果的に進めるためにはどのような方法があるのか、を学ぶことにも興味があります。ゆくゆくはリーダーとしてチーム全体で難解な問題を迅速かつ正確に対処できるようなビジネスマンになる。というキャリアプランを持っています。


 

ルートB+C:

出発点とStep1,2に相違はありません。作成したキャリアプランにすぐに反映させてしまいましょう。

私は現在、IT系コールセンターにてトラブルシュートを実施しておりますが、3年の業務経験で、WindowsOSの障害解析が得意な分野となりました。今後はその得意分野を生かすべく、難解な問題に注力して取り組めるような業務(専門性が高い)に進めて行けたら、と考えております。

(追加する)また、現在は対応する対象顧客層が、○○ソフトウェアに限定されているため、トラブル対応できる範囲が狭いように感じております。もっと幅広い層を対象顧客にして、自分のスキルを磨きたいという観点と、個人的に御社のような大(グローバル)企業で働き、自身の見識を広げたいという希望があります。

また一方で3年の業務経験の中で、個々人で取り組む業務よりも、チーム全体で取り組んだほうが、余程効果的に業務が進行することを学ぶことが出来ました。現在はより業務を効果的に進めるためにはどのような方法があるのか、を学ぶことにも興味があります。ゆくゆくはリーダーとしてチーム全体で難解な問題を迅速かつ正確に対処できるようなビジネスマンになる。というキャリアプランを持っています。

どうでしょうか?ここでは、IT系コールセンターに勤務する3年目の会社員を例に物語を作ってみました。他の職種でもルートB、もしくはB+Cの併せルートであなたの物語を作成できるのではないでしょうか。

 

ちなみに、ルートAが選べない理由はわかりますよね?

転職を前提としたルート選びの場合、平社員をいきなり特別待遇で、課長として採用とするケースは非常にマレだからです。ルートAは現職にとどまる場合の物語になります。先の例の一番下の段落ですね。


 

ルートA:

また一方で3年の業務経験の中で、個々人で取り組む業務よりも、チーム全体で取り組んだほうが、余程効果的に業務が進行することを学ぶことが出来ました。現在はより業務を効果的に進めるためにはどのような方法があるのか、を学ぶことにも興味があります。ゆくゆくはリーダーとしてチーム全体で難解な問題を迅速かつ正確に対処できるようなビジネスマンになる。というキャリアプランを持っています。

 

どうですか?いたってシンプルにあなたの物語が作成できましたよね。簡単に作れてしまったけど、これはキャリアプランと呼ぶに十分な内容です。実際に中途採用面接をしていて、社会人30代でもこれが言えないビジネスマンが非常に多いのが現実です。あなたは、もう自分のキャリアプランを持っている立派なビジネスマンです。是非自信を持ってください。

 

次のページでは今作ったキャリアプランを本格的にあなたのビジネスマンとしての設計図にするための方法を解説します。


 

次のページ

キャリアプランの磨き方


 

以下に転職や出世に必要なキャリアプランに関する私的見解を記載しました。お時間があればご一読をお願い致します。


 キャリアプランの本質

繰り返しになりますが、キャリアプランは「上昇志向」がなければ作ることが出来ません。ダラダラと今の仕事をなんとなく続けて、それなりの給料をもらい続けたい方には作ることが出来ません。

 

本当でしょうか?

実は作れます。なぜなら、キャリアプランの本質は「専門性・役職」という観点で「低みから高み」に上昇する「物語」を作れさえすれば良いからです。

誰があなた以外にキャリアプランを聞きたがりますか?誰があなたのキャリアプランに興味がありますか?

それはあなたを評価する必要がある人間です。例えば、あなたの上司、転職する際の採用面接官ですね。

彼らはなぜ「ダラダラと現状維持」する人間よりも、「上昇志向」のあるキャリアプランをもったビジネスマンが好きなのでしょうか?それは現代社会が「上昇志向」を求めているからです。この志向性は不思議で、仕事をしている時のビジネスマンは、この思いを共有しています。ですから、仕事に対してネガティブな発言をしたり、キャリアプランが全く無いよ。なんて言われたり、言っているのを耳にすると、その人に対して違和感を感じてしまいます。母集団から違和感を感じられた人間には・・・なりたくないですよね。

話が逸れましたが、よりやる気がある人、より金儲けが出来る人、アクティブに動く人、人を動かすことが出来る人。これを他者より出来る人がより「正」なのです。自分が採用面接官になった際に、どういう人間を採用するか考えてみてください。おのずと答えはでるはずです。

ですから、自分に嘘をついてでも、上述の方法でキャリアプランを作って見て下さい。一旦作ってしまえば、急に必要になった場合でも、それを思い出しながら答えればよいのです。話しながら考えて回答するのは余程の才能が無いと難しいです。少なくとも僕にはできません。


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