前ページで文章作成の基本となる、文章報告の目的を学びました。今日は読み手は誰なのか?に着眼した報告書の書き方。また一般的に読み手(顧客)に納得してもらえる「良い報告書」について説明します。

 

 おさらい
  1. 文章報告の目的
  2. Who is audience?(誰が読み手か?)
  3. 良い報告書とは
  4. 読み手の期待

 

Who is audience? (読み手は誰か?)

あなたの作成した報告書は誰に向けて作成したものなのでしょうか。あなたは誰に対して報告し、納得・理解してもらう必要があるのか、を考えて下さい。

電子機械類、例えばあなたがメーカーに勤務していて、自社製品が故障した際に顧客に提出する報告書であれば、読み手は誰になるでしょうか?メインのAudience(聴衆)は誰になるでしょうか。状況によって異なるとは思いますが、以下の面々があげられると思います。

 

  • 故障した製品を使用していた部門の現場担当者(営業)
  • 故障した製品を使用していた部門の技術担当者(エンジニア)
  • 故障した製品を使用していた部門の部長

 

もし仮にあなたが、先方の部長や営業に対して、故障した製品の詳細な電子回路の説明をし、プログラミング知識が必要なレベルの制御プログラムのバグをコードレベルで説明するのであれば、それは残念ながら「的外れ」な報告書になります。部長や営業部門が知りたいことは、事象説明としては、その故障が、ハードの問題かソフトの問題か、極端に言えば一言で表せるようなレベルで十分であり、それより、「いつ」直るのか、「もう壊れないのか」、直すのにお金がかかるのか?等の善後策をより重視します。

逆に報告書の提出先が、エンジニアである場合は、問題のあった電子回路の詳細な解析結果や、根本原因の特定を実施した上での、回避方法を好みます。なぜならエンジニアはあなたと一緒に「いつ」、「誰が」直すのか、を考えてくれるパターンが非常に多いからです。

報告書は問題が発生してから、提出するまでの期間も重要視される傾向にあります。読み手が誰なのか?を判断し、短い期間で、読み手の性質にあった報告書作成に注力すべきです。

 

良い報告書に含まれる項目・テクニック

良い報告書、読み手に好かれる報告書を一言で表すならば、「簡潔にまとめる」となります。ごてごてした、回りくどい報告書は顧客の怒りの炎に油を注ぐだけです。抑えるべきポイントは以下です。

 

  • 報告を受ける顧客・上司は大量の報告を受ける為、枚数は少なくする。
  • 短文で箇条書きでまとめる、しかし必要な事項は充分に記載する。(見極めが大事)
  • どうしても長文になる場合、ログや細かい説明は添付資料にする。
  • 1ページ目にExecutive Summary(概要)として、「事象」「原因」「解決方法」の結論を記載し、仔細は本文に記載する。
  • クレーム対応は、「相手の状況」や「対応の詳細」、「原因」、「善後策」を記載する。
  • 簡潔を旨としても、必要な情報が抜け落ちぬように必要に応じて図解等があり、文字を追わなくても視覚的にすぐ把握できるようにする。
  • 問題点、原因分析、改善策(当方・先方の両方)がよく洞察されており、それぞれの相互因果関係が明確にできている。
  • 先方が思いつかないような前後策を示し、当方の観察力や洞察力の鋭さを示す重要な内容を盛り込めるとなおよい。

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(4)読み手の期待


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