ロジカルシンキングとは「効果的に目的を達成する手段」であると、前々項で説明しました。また、会社や上司に昇進・昇格を認めさせるためには、あなたの仕事の成果を正しく「結果を見せる」ことが必要で、これはロジカルシンキングの考え方が不可欠であることも前項で説明致しました。本項では、最も一般的で、あなたの仕事に即効性のある二つのロジカルシンキングの考え方を説明します。

 

 MECE ( Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive )

 

ミーシーと読み、日本語訳は「相互排他的なアイテム」による「全体集合」となります。

 

いまいちストンと落ちませんね。私は、「対象となるものごとが重なることなく、そしてひとつもあぶれることないように、グループ化する」と覚えています。

 

この考え方のキモは、雑多にあふれたあなたの頭の中の思考や、対応すべきモノゴトを「整理整頓」しましょう。ということです。長年の生活の中で我々はある程度は頭の中で、モノゴトをグループ化して適切に処理しています。例えば、「今日、サンマを食べたいな」ということと「明日、朝一で対応すべきは顧客への謝罪電話だ」は、決して同じグループには当てはまりません。なぜならこれはあなたの頭が自動的にこれらのモノゴトを「食事の献立」と「仕事」という異なるグループにMECEさせたからです。

 

かなり極端な例をとりましたが、ロジカルシンキングはこういう、あたりまえと思われること、今までは頭の中で処理していたものを言語や図絵に表現していきます。

なぜなら、我々の頭は非常に優秀ではあるのですが、時として、思考をスキップして結論に結びつけてしまったり、「感情」や「好き嫌い」により選択をしてしまいがちです。あなた自身の問題であれば、直感型の人間というカテゴリもあるので、問題無いのですが、「相手に伝える」という観点では、大いに問題です。なぜならビジネスの多くのフェーズでは、あなたの「感情」や「嗜好」は説得材料になりえないためです。相手に理解してもらうには、フラットな立ち位置で順序立てて、過不足無く、説明することが必要です。

 

 MECEの考え方

 

以下の図では、左側の雑多なモノゴトを特定のルールに従ってグルーピング化し、右に表しています。

雑多なモノゴトををグルーピングする。

 

  • ルール1: 図形が同一のものをグルーピング化する
  • ルール2: 色が同一のものをグルーピング化する

 

上述のグルーピング化の意図は「複数の属性を持ったモノゴト」を特定のルールに従って正しくグルーピング化するということになります。

例えば、今、あなたは「おもちゃ」の新規開発に携わっているとします。上司からは「トレンド(流行)」に乗った「即効性」の高い売れる商品開発を命じられています。この際のMECEのアプローチは以下となります。

 

1.まずあなたは、「雑多なモノゴト」を数多く思い浮かべ、書き出します。これはブレインストーミングと言います。
2.次にこれらをMECE化します。ここでは仮に「材質」と「年齢層」、でグルーピング化しました。

ルール1 材質   木製、金属性、電子機器、紙製
ルール2 年齢層  乳児、幼児、小学生、中学生
※例えば、「木製の立体パズル」はルール1では、「木製」のカテゴリ、ルール2では、「幼児」のカテゴリになります。「トレーディングカード」であれば、ルール1では、「紙製」、ルール2では、「小学生」のカテゴリとなります。

 

通常のMECEのアプローチは上述までですが、一番重要な「目的」は、「トレンド(流行)」に乗った「即効性」の高い売れる商品です。これを忘れてしまっては本来の目的を失っていることになります。

 

このため、MECEのアプローチの他に「マーケット動向」を深く探る必要があります。おもちゃ業界では何が流行って、何が売れているのか?そして、その業界を探る「キーワード」が先ほどMECE化したルールとなってきます。材質の観点では、木製・紙製等どの材質が売れているか?

 

年齢層としては、どの年代のマーケットが大きいのか?あなたが作ったルールが多ければ多いほど、調査の幅は広がっていき、より説得性の高い結論を導きだすことができます。

 

そしてそれを逆算するように、上司に対して説明すれば良いのです。

 

1.現在のおもちゃ業界のトレンドは、「小学生」を対象とした「トレーディングカード」であることがわかりました。このトレーディングカード業界規模は○億円、次ぐ「携帯ゲーム機」は○千万円でした
2.次に「トレーディングカード」の業態としては、「単一カード型」と「ゲーム機器連動型」、「テレビアニメ連動型」に区分けすることが可能です。
3.当社の開発規模を鑑みるに、ゲーム・アニメ連動型は初期投資コストが高く、、、

 

というような形です。もちろん、実際の商品化には数多くのルール検討をすべきですが、ものの伝え方、自分の出した結論を正しく伝える方法はMECEで正しくグルーピングされたモノゴトを順序立てて説明することが重要です。


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